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ニッポンの黒 [博物館・美術館での出来事のようだ]

 東京より帰宅したら新日曜美術館が始まるところでした。今日の主役は須田国太郎。恥ずかしながら私存じ上げなかったのですが、なかなか興味深い内容でした。生涯「黒」という色の表現力を追い続けたのが、彼の創作活動の特徴だったとか。
 私はどういう訳か、そしていつの頃からか、この黒という色について思い入れを持つようになりました。暗いというのを筆頭にネガティブイメージも強いながら、落ち着きがあるとかポジティブなイメージだって感じられる。その色に拘った日本人が印象派隆盛の頃にいたということに興味をそそられたのですよ。
 謡曲の世界から絵画の世界へと進んだ須田は、スペインでの修行を経て、日本の空気に合致する黒を如何にして表現するか、長い間試行錯誤を続けました。その結果彼が辿り着いたのは、日本の空気を彩る色と溶け込む黒でした。海亀を描いても、神社を描いても、一見一面を黒く塗りつぶしたような部分をよく見たり光を当てたりしてみると光を放つ色が湧き出てくるのですよ。
 日本的な黒と一口に言っても、黒光りする漆塗りでもなく、水墨画のような黒一色でもなく。須田が試行錯誤の末に生み出した黒は、日本の美を見事に彼の言葉で謡った表現だったのでした。
 そして、特集の最後に展覧会のお知らせがありました。何、東京でやっていたのですか。もう一日でも早く知っていたら、見に行ってこられたものですが…


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