SSブログ

原作ありき、だけど? [映画で考えることもあるようだ]

 雑誌TV Bros. はテレビ番組表よりもコラムの充実が目立つ雑誌なのですが、いつの頃からか「亜流ナンシー関」の如く日和見で書き捨てるような芸風のものが増えてからは、出張版サポティスタのところを立ち読みするだけの存在になっていました。
 で、今週出た号はそのサポティスタで東京ダービー事件のことをまとめていた記事のおかげで珍しく買ったわけです。そういうわけで久しぶりに各コラムに目を通してみれば、一つ目に留まった記事がありました。
 掟ポルシェ氏が映画「ベニスに死す」を評していた記事がそれですな。ビョルン・アンドレッセンの美しさやダーク・ボガードの熱演というか怪演を絶賛する一方で、物語自体についてはアッシェンバッハの妄想などからアイドルとファンの関係を想起して分析を試みた、という内容です。
 まあ感心したりしなかったりという感じでそんなコラムを読んでいたわけですが、ちょっと気になったのがこの映画での演技面は仕方ないけれどもシナリオや心理描写についてはヴィスコンティの手腕評価で終わっているのですね。言い方を変えれば映画だけで評価しているというか。皆様ご存じの通り「ベニスに死す」はトーマス・マンの原作があっての映画なわけで、そのことに言及がなかったのがちょっと残念です。ポルシェ氏が引用を意図的に避けたのか、読んでいなかったのか、それとも原作の存在を知らなかったのか。どのレベルが原因で起こったことかは分からないのですが、トーマス・マン好きの私としては原作も絡めてくれればこのコラムはもっと深く読めたかな、と思うのです。
 でも実際文学原作の映画だと、原作見ずして映画を先に見る、というのはよくあるケースです。また、原作に感動して映画を見たら、どうもイメージとかけ離れてがっかりした。というのもよくある話です。私はどちらも経験があります。これはどっちの順番で見るのがいいのでしょうね。あるいは、どっちかだけで済ませる方が良いのかな。意外と難しい問題かもしれませんね。

ベニスに死す

ベニスに死す

  • 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
  • 発売日: 2005/03/25
  • メディア: DVD


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0