出会って語って(CD紹介) [音楽と関係があるようだ]
ジョン・ルイスは語るピアニストだと思うのです。
と言ってもソロの弾き語りが最高というのではなく、ソロの最中に謎の唸り声を出すというのでもありません。アンサンブルの中で、語る人なのだと思います。
超絶技巧を聴かせるのでもなければ、相当に注意して呼吸を合わせないと壊れてしまうかのような繊細さで聴かせるのでもありません。でも彼は、周りの音色の中であってこそ、そのソロで静かに語りかけるような演奏を聴かせてくれるのです。
MJQでもお馴染みのように、音をあまり厚くは重ねず、ソリストのラインを噛み合わせて曲を進行させていく…「フランスの室内楽を思わせる」と良く評されるタイプのアンサンブルは、彼のピアノが最も生きるかたちなのでしょう。
このアルバムではタイトルにも現れているように、アメリカ東西両海岸の奏者が出会ってアンサンブルを形成しております。相性抜群の演奏が、この出会いの必然性に理由付けをしてくれるのですが、それ以上に、ジョン・ルイスの個性がその必然を呼び込んだような気がしてならないのです。
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