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富める者よ [時事問題について考えたようだ]

 ちょっと古い話ですが、TIME誌毎年恒例の「今年の人」は、ビル・ゲイツ夫妻とU2のボノでした。何故にこの三人かといえば、キャプションが答えてくれます。"THE GOOD SAMARITANS" 、良きサマリアの民とは意訳すれば慈善の人ですよね。
 記事を読めば色々とこの三人の活動事例が載っています。私はマッキントッシュ愛好者故かゲイツ氏には好感を抱けないのですが、それと彼の活動の是非はまた別問題です。ダッカのコレラ患者の病室や、ニューデリーのスラムを自分の足で訪れる。それだけでも実際に行える金持ちはそうはいませんよ。もちろんこの記事だけを全て鵜呑みにすることはしませんけれど、得た富を少しでも現在進行形の貧困地域に対する寄付に使うアメリカ人富豪が存在するということを実証するだけでも、大きな意義があると思います。
 世界史上でもこうした例は珍しくは無かったはずなんですね。一つ例を挙げれば、中世のドイツ・ハンザ商人は遠隔地商業で得た利益から必ず福祉活動に投資すべきであるという暗黙のルールがあって、教会の救貧所への寄進だったり福祉施設の建設であったりという所に財を分け与えたのでした。
 そこで思ったことが一つ。昨日深夜のあるニュース番組でIT長者とかヒルズ族とかまあ呼び方は何でもいいけれどとにかく日本の今年話題になったオカネモチの皆さんが話題になっていました。彼らはTV局やスポーツクラブを買うことにはご執心のようでしたが、結局文化的な目的での投資であったか?或いは福祉目的の投資はしていたか?そもそも会見で福祉のふの字でも口にしたか?
 私の記憶力に問題があるのか、そこらへんの覚えがないですねえ。


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まさ

クロネコの故小倉昌男サンは福祉財団を設立されたり施設に株式を寄付したりとなさっていらっしゃいましたが、仰るとおりヒルズではほとんど耳にしませんね。プロスポーツのオーナーも、個人の嗜好か会社の宣伝かという意識が強くて地域文化として根ざそうというのがみられませんし・・・日本人はお金の使い方が下手だなぁ~というのが、バブルのときに海外の芸術品を買い漁っていた頃からの個人的感想です。
せろサンは西洋史に詳しいみたいなんでお尋ねしたいんですが、「パトロンが芸術家をたくさん託っていたんで華やかな芸術や文化が花開いた」みたいに言われるんですが当時はそういう(現在の福祉・慈善活動ように)のが評価されていたんでしょうか?「絵描き雇うくらいなら仕事くれよ」ってな考えはなかったのかな?と、ふと思いまして・・・。
by まさ (2005-12-29 00:25) 

Sanchai

ゲイツに下心がないとは言いませんが(途上国の人々の所得が向上すればウィンドウズの顧客となるかもしれない)、自分で使い切れない所得をこのように社会に還元していくという姿勢には共感を覚えます。確かに、ヒルズ族にそうした姿勢を感じることはあまりないですね。
日本では個人で財団を設立するような動きはあまり目立たないのですが、納税に真摯に応じておられる高額納税者の中にはそういう社会還元を意識されている方もいらっしゃるのも事実です。毎年長者番付上位に顔を出す斎藤一人さんも、取材を受ける中で「設けさせていただいた社会に対して還元するのは当然」と語っておられました。
by Sanchai (2005-12-29 05:29) 

党首

企業家が精神世界や社会変革に目覚めるのは、「成功に飽きて」からだと思います。IT長者などは、まだ生き残りのバトルでもがき苦しんでいる時期です。競争相手を潰し、会社が「安定」して、テンションの下がった頃からが「反省」の時間です。自分が生きるか死ぬかの戦いをしている時に、人を思いやることは難しいのだと思います。もちろん、それを出来るのが理想ですが…。

私は堤康次郎や五島慶太、小佐野賢治、横井英樹の時代に比べて、今の「ヒルズ族」のモラルが落ちているとは思いません。え、例が悪いって?(笑)
松下幸之助も、京セラの稲盛も、任天堂の山内も、「社会貢献」を始めたのは一線を引いてからですよね。古くは安善とか、大倉喜七郎とか…。ビル・ゲイツは、もう「余裕」なんでしょう(笑)

ただ間違いなく日本のチャリティーの文化はアメリカより弱いと思います。「国がやってくれるから」的志向が強いのかもしれません。文化的にはともかく、寄付税制のような制度的検討は必要だと考えます。

> Sanchaiさん
> 日本では個人で財団を設立するような動きはあまり目立たないのですが。

仰る通り「目立たない」のですが、実は色々あります。例えば「正力厚生会」という財団があります。奨学金を出したり、施設へ寄付をしたり、そういう活動をしています。この財団は超リッチです。読売新聞社の支配株主なのです!(笑)

朝日新聞村山家、上野家と言った家族で所有しています。だから、「宮廷クーデター」の可能性を常に秘めているんです。取締役会で名義書換の拒否はできますが、それでも相続で会社の支配権が揺らぐわけです。

それに比べて読売は安泰。相続における分散や税負担を避けるために「財団」という形態を使っています。配当収入はチャリティーにも使われていますが、主目的が「会社の支配権維持」「節税」なんですよね…。こういった形で創業者株主が名目上は「慈善事業」を目的に立ち上げた財団が、この国にはいくつもあります。会社四季報の「主な株主」欄を見ると、色んな財団を見つけられます。

「普通に税金を払ってくれ方が世のため人のため」なのは言うまでもありません!法的に許されても、社会的には感心できない経済活動です。
by 党首 (2005-12-29 08:49) 

党首

失礼しました。読売厚生会は「支配株主」ではなく、「筆頭株主」ですね。
http://disclose.finance.livedoor.com/pdf/2005/06/07/26070330_20050607.pdf

他に正力亨氏個人や読売系の学校法人、「読売光と愛の事業団」という社会法人が分散して持っているようです。
by 党首 (2005-12-29 08:57) 

せろ

わ、留守中に中身の濃いレスが。
単純な疑問から始まった記事なのに、皆様ありがとうございます。

>まささん
こんばんは。nice!ありがとうございます。
西洋史、と言っても私が知りうるのはその内の僅かなのですが、
芸術振興に繋がったパトローネスのお話はそれこそ古典古代の時代から
存在していました。
勿論まささんご指摘のように芸術以外の雇用を求める声も多かったようですが。
ここで例に挙げたハンザ商人の例をもう少し挙げると、
貧者救済の聖霊救護院は今でもその建物を老人ホームとして使い続けていますし、
商人主導で建造した聖マリア教会では
下積み時代のバッハの感性を育てたオルガンが今も鳴り続けています。

>Sanchaiさん
はじめまして!nice!ありがとうございます。
国民性の違いというよりは、当人の心性の問題かなーと
個人的には感じています。
仰る通り日本にも文化振興に尽力されている方はいらっしゃいますし、
歴史的にも他国に負けてはいなかったはずなんですよね。
何か今日の昼前にやっていたラジオでも宮城道雄の後援者のお話をやっていました。

>党首殿
こんばんは。
モラルのあるなしというか、私はモラルを形作るところの
教養という点がヒルズ族の弱点かなという印象があります。
学歴があって、儲けるための知識も経験も豊富。
でも教養道徳の類は?というところですね。
チャリティーの文化意識もそのあたりに起因するのかな、と。
まあこれは漠然とした印象ですし、彼らの年代でなくても
会見などを聴いているとその辺が危ない富豪は多いと思うのですが。
バブル時代「メセナ」などという言葉が流行ったこともありましたけど
その語の意味を噛み砕いて説明できたメセナ活動家がどれほどいたのか
当時は疑問を持っておりました。
by せろ (2005-12-30 22:20) 

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