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収蔵品は語るよ [博物館・美術館での出来事のようだ]

 横浜FC戦を見に行った土曜日、実はその前に上野に寄っていました。国立博物館で「ベルリンの至宝展」が開催されていたのです。
 世界遺産でもあるベルリン博物館島改装に伴い、収蔵品が日本でも展示されているというわけです。今目録を見返しているのですが、改めて思うにそのコレクションの幅が広い広い。エジプトやメソポタミアの出土品からヨーロッパ近代美術の絵画まで。全部の背景に思いを馳せるには相当な教養が必要ですねこりゃ。
 日本におけるドイツ年(2005-2006)記念事業の一環ではありますけど、今回の展示品の多くはドイツ以外の地域からやってきたものです。何かドイツ的なものを味わうとすれば、それらのコレクションに対して文化的価値を見出す精神といったところでしょうか。ヨーロッパ諸国の大博物館というのは多くの場合に帝国主義の歴史の影を背負っているところも多い、つまり遠征地や植民地からの戦利品というかたちで得た収蔵品も多いわけです。コレクションという語を収集と訳すべきか収奪と訳すべきか、背景を調べれば悩む方も多いはず。大英博物館ほどではないとはいえ、ベルリン博物館島収蔵品にも時代によってはそんなものが収められていました。ヒトラーの時代には逆に「退廃美術」が処分されるということも起こっています。
 ただ背景がなんであるにせよ、ここで展示されていたのは紛れもなく貴重なものであるという事実は全くもって動きません。それに先に挙げた欧州の大博物館の収蔵品に比べ、見た目の派手さや豪壮さよりも、そのものの持つ空気の濃密さで見る者を魅了させるような展示品が揃っているところにやはりドイツ的な美と調和の精神を感じます。古代エジプトの石板、質素な中にも格調の高さを感じさせる装飾品をまとったメソポタミアの神、複雑な精神世界の中に教えを表したイスラム美術の文様、壺に描かれたギリシャ神話絵巻…それら全てを現代まで生き残らせた力そのものが、この展示会で一番驚嘆させられるものかもしれません。


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